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青春は遠くになりにけり

プロレスラーのアントニオ猪木さんが1日亡くなった。79歳。鉄人のような人が若くして世を去り凡人が長生きする。人の運命は分からないものだ。

 

猪木さんは1943年(昭和18年)の生まれ、私より6歳若い。彼が1960年にプロ入りしたときは大学1年だった。大学の寮にはテレビなどなかった。テレビがようやく一部の家でも見られるようになったのは東京オリンピックが開催された1964年以降のことである。

 

テレビ番組の一番の人気はプロレスだった。私もプレスファン。祖母も大好きだった。力道山、ジャイアンツ馬場、アントニオ猪木、吉村道明、大木金太郎の名前がすぐに浮かぶ。力道山の空手チョップ、馬場の16モンキュック、猪木の卍(まんじ)固め、吉村の逆転エビ固め、大木の頭突き。得意い技で凶悪な相手をやっつける試合に心を躍らせてものだ。

 

 

あの頃は20代の青春真っ盛りだった。あれから60年も過ぎた。アントニオ猪木が去った。顧みるとわが青春は遠くになりにけり。